プロテインとは、たん白質の英語名「Protein」です。「Protein」は、ギリシャ語で「もっとも重要なもの」という意味である「Proteios」に由来する言葉。19世紀頃、生物に砂糖や油のみを与えると早く死亡してしまうが、たん白質を与えると長生きすることがわかり、その重要性が認識されてこの名前になったというのです。まさに「もっとも重要なもの」として、生体に欠かせない物質なのです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2015年版)による、1日に摂取するたん白質の推奨量は、次の表のようになっています。成人男性で1日60g、成人女性で1日50gと、性別で推奨量に大きな差はありません。たん白質は、男性にも女性にも必要なのです。
もう一つ注目していただきたいのが、50歳代を過ぎても、成人と同じ量のたん白質が必要だということ。その理由は、年齢とともに運動量が減り、食が細くなって筋肉の量が減ることと関係があります。たん白質は、体内でアミノ酸に変化して筋肉の中に貯蔵されますが、筋肉の量が減ると貯蔵しているアミノ酸も減ってしまうのです。その状態が続くと体がケガや病気に対応できなくなる恐れがあるため、いくつになっても十分な量のたん白質を摂取することが必要なのです。
年齢別 たん白質の食事摂取基準 推奨量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年)」より作成
生体リズムを整える「体内時計」は、摂取したたん白質を12時間かけて細胞内にため込み、次にたまったたん白質を12時間かけて放出することで時間を計っていると言われています。
この体内時計をリセットするカギは、朝食に含まれるたん白質にあることがわかってきました。しかし、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、20代男女の3人に1人、40代男性の5人に1人が朝食抜きの生活を送っています。これでは体内時計が乱れるのも仕方がありません。
生体内の正常なリズムは健康の基本ですから、朝食にもたっぷりとたん白質を摂りましょう。また、たん白質は生体を維持するために日々、分解と排泄、再合成を繰り返しているので毎日欠かさず摂取することが大切です。
たん白質の生理作用※を活かすには摂取するタイミングも重要です。たとえば、体内時計をリセットするためには朝食など1日の最初の食事で、筋肉強化を目指したいなら運動した直後に摂取すると良いでしょう。筋肉の強化だけでなく疲労回復も期待できます。また、子どもの成長やアンチエイジングのためには夕食時の摂取が効果的です。就寝中に成長ホルモンの分泌が促進され、たん白質が筋肉や骨、皮膚コラーゲンの構成材料になるからです。
※生理作用とは、その成分が体の中で働くしくみ、果たしている役割のこと。