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栄養バランスの乱れによる代償

肥満とメタボリックシンドローム

肥満の原因は栄養バランスの乱れ
肥満の人の割合は、特に男性において年々増加傾向にあります。その要因には現代人の栄養バランスの乱れがあることは明らかです。

食の欧米化による脂肪過多な食事や間食などは過剰なエネルギー摂取となり、肥満を招いてしまいます。

それだけでなく、実はビタミンやミネラルの不足も肥満につながる一因です。現代人は、野菜や果物の摂取不足により、ビタミンやミネラルが不足しがちですが、ビタミンやミネラルは、糖質や脂質をエネルギーに変える上で欠かせない存在です。そのため、ビタミンやミネラルが不足すると、エネルギーに変換しきれなかったものが体脂肪となって蓄積されてしまうのです。

肥満にならないようにするには、栄養素をバランス良く摂ることがとても大切です。

日本人の肥満者の割合推移

肥満は生活習慣病の原因
日本人の死因の第1位はがん、第2位は脳卒中、第3位は心臓病で、これらのすべてに肥満が深く関わっています。糖尿病、高尿酸血症、高血圧、高脂質血症、脂質異常症などの疾患は特に肥満と関わりの深い生活習慣病です。

また、日本人は欧米人に比べ、より軽度の肥満でも生活習慣病になりやすいため、日本人の肥満の基準は欧米人よりも厳しく設定されています。




メタボリックシンドローム
肥満には、皮下脂肪型と内臓脂肪型がありますが、内臓脂肪型の方が生活習慣病を引き起こしやすいことがわかってきました。

内臓脂肪による生活習慣病のリスクが高い状態として、「メタボリックシンドローム」がよく知られています。「メタボリックシンドローム」とは、内臓の周辺に脂肪がついてお腹が出てくる内臓脂肪型肥満に加え、「①血清脂質異常」、「②血圧高値」、「③高血糖」のうち2つ以上を合併した状態をさします。この状態を放置すると糖尿病や高血圧症といった生活習慣病を併発することになるため、内臓脂肪型肥満が疑われる方は注意が必要です。

メタボリックシンドローム

日本肥満学会策定「メタボリックシンドローム診断基準」より作成

なお、現在日本では、男性の約4人に1人(23.6%)、女性の約10人に1人(9.1%)が「メタボリックシンドロームが強く疑われる」と診断されており、年齢が高くなるほど、その割合は増加しています。

メタボリックシンドロームの元になっている内臓脂肪はたまりやすく減りやすいという特徴があります。食生活を改善して運動不足を解消することで減らすことができるので、内臓脂肪をためない生活習慣を心掛けることが大切です。

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の状況(2013年)

厚生労働省「平成25年 国民健康・栄養調査結果の概要」より作成

子供の肥満
文部科学省が行っている学校保健統計調査によると、肥満傾向の子供の割合が、この30年間で約2倍に増えています。この原因にはよく知られている栄養バランスの変化に加えて、朝食を摂らない子供の存在、夜食を食べる子供の増加などの食生活の乱れが考えられます。

肥満傾向児出現率の推移